研究概要 |
本研究で対象とするのは,渤海に面した華北平原で遼寧省,河北省,山東省にまたがり北の方から泰皇島,開ラン,瑠博,龍口などの炭鉱地帯である.この平原では第四紀層が奥地まで厚く分布しており,地盤沈下が厳しい状況にある.龍口では中国初の海底採掘が開始された.撫順では100年にわたる露天掘りが終掘に近づいており,跡地対策が求められている.このうちの対象区域は中国側で選定し,実際の現場情報を提供するとともに,これを両者で検討して現地調査を行なう. 本年度は,日本側,中国側で各々開発した地盤沈下解析ソフトを持ちより情報交拠,システム構築の基本設計を行なった.特に,沈下解析については,中国側が開発した主沈下断面負指数関数法,非主断面解析法と日本側が開発したGIS影響関数解析法を想定したモデルを用いて同じ条件下で解析して比較検討し,両者の違い,問題点について明確にした.その結果,解析中の主要素である沈下率,限界角,時間係数影響関数などについて,中国の計測結果に適合するように改良・修正を行なうことが必要であることがわかった.また,環境影響評価システムについては,日本側が開発した水循環,洪水解析,被害算定等を統合したGISシステムを用いて華北平原の実態に合うよう改良して,各種データの入力を行なった. 調査については,中国における三下採掘の実状について,日本の海底採掘等の技術と比較検討するための資料調査,採掘計画,規制など実際の例について調査を行なった.また沈下盆地,湖沼化の現地を訪問して,採掘実績,沈下計測成果などの情報収集を行った.同時に,採掘上の構造物の変状状況の調査も行った.また,撫順の露天掘り炭坑を訪問し,閉山後の対応について意見交換を行った.さらに,中国側はこれらの調査に同行するとともに来日して九州大学,関係省庁などで研究打合わせを行った.
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