研究課題/領域番号 |
15405001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岩熊 敏夫 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (60124335)
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研究分担者 |
藏崎 正明 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (80161727)
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キーワード | 熱帯低湿地湖沼 / 沿岸生態系 / 一次生産 / 群集呼吸 / 動物プランクトン / 底生動物 / 水位変動 / 生態系応答 |
研究概要 |
インドネシア中央カリマンタンのカハヤン川流域の湖沼(Sabuah湖沼群)及びTundai湖で以下の観測研究を行った。 1)湖沼湖盆形状の把握と水位変動特性の把握: 高水位期にGPSプロッター測深機による多地点測深を行い各湖沼の湖盆図を作成した。 2)湖沼沿岸の植被状況と湖沼沿岸帯生態系構造の把握: 湖沼沿岸に分布する浮漂植物と湖畔林沈水葉の付着動物群集を採取し、沖帯・沿岸帯の開水面の動物プランクトン群集との比較を行ったところ、タクサ数には差がみられなかったが、付着動物群集の生物量が高くなることが示された。湖畔におけるリター量の測定を継続した。 3)植物プランクトン・付着生物群集の一次生産量: 植物プランクトンの光合成活性を酸素法により測定した。暗ビンに比べて明ビン内の酸素消費速度が高くなる現象が見られたが、湖水にホルマリンを添加した場合の酸素消費量が湖水のみの酸素消費量より高くなり、この差が溶存酸素有機物が紫外線により分解し微生物に利用される際の酸素消費量であると考えられた。光合成光曲線と光強度の日変化から推定した水深1mまでの日総生産量は150mgCm^<-2>day^<-1>で、日呼吸量はこの4倍の値であった。湖沼生態系は系外からの有機物供給に大きく依存していることが示された。 4)湖沼定期調査: Sabuah湖沼群で月1回の定期調査を継続した。動物プランクトンの多様度、湖沼間の類似度は月により、また湖沼間で大きく変動した。 5)底生動物の現存量と動物プランクトンの現存量: Tundai湖とSabuah湖の底生動物個体数データから現存量を推定し、動物プランクトン現存量との比較を行った。 6)まとめ: 2004年8月の国際理論応用陸水学会第29回大会(フィンランド)およびヒューマンダイメンションワークショップ(インドネシア)において、共同研究者らとともに本研究の成果を発表・討議し、論文発表を行った(印刷中)。
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