研究課題
これまでに、コケ類や森林の構成要素のフィールド分光観測に基づいて、林冠のNPPや葉面積指数と同時に林床の植生種をリモートセンシングする方法論を開発し、アラスカ内陸部のトウヒ林に適用した。林冠の葉面積指数と林床の植生種構成割合を衛星データより求めた。また、これらと、地上観測に基づいて、林冠の葉面積指数と年炭酸ガス収支との関係、および林床の植生種構成割合と林床の年炭酸ガス収支との関係から、純生態系生産の地理的分布を見積もった。また、火災跡地や森林火災後の植生変化を考慮するために、森林火災後の、ミズゴケ・地衣類、火災跡を含む林床植生の分光反射測定を行った。平成18年度は、解像度10mのALOS衛星搭載AVNIR-2センサーにより、森林火災2年後のミズゴケの燃焼割合の見積もりを研究した。数十mスケールのミズゴケの燃焼割合は、植生の更新を決める大きな要因であるとともに、燃焼により失われた土壌表層の炭素量を反映する。空中写真により、10cmスケールで、ミズゴケ燃焼部分の分布図を作成し、衛星画像と重ね合わせ、衛星画像の分光指標による、ミズゴケの燃焼割合の見積もりを検討した。その結果、50m×50mが1画素になるように平均化すれば、緑バンドと赤バンドの差と和の比により、ミズゴケ類の面積率をR^2=0.6で見積もられた。30m×30mの平均化や原画像の10m×10mの地上分解能では0.31や0.09の決定係数だった。50m×50mの平均化が有効である理由については、燃え方や立木や倒木の分布や植生回復の偏りが考えられた。このように、アラスカ黒トウヒ林について、火災前の炭酸ガス収支と、火災後のその変化の地理的分布の見積もりを、衛星により行う手法を、提示、評価した。
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