研究課題/領域番号 |
15405008
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
後藤 晃 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教授 (30111165)
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研究分担者 |
酒井 治己 水産大学校, 生物生産学科, 教授
岩田 明久 京都大学, 大学院・アジアアフリカ地域研究科, 助教授 (20303878)
森 誠一 岐阜経済大学, 経済学部, 助教授 (50308657)
渡邊 勝敏 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00324955)
山崎 裕治 富山大学, 理学部, 助手 (30332654)
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キーワード | 極東アジア / 淡水魚類 / 分子系統関係 / 系統地理 / 生活史進化 / 繁殖行動進化 / 種分化機構 / 生物多様性の起源 |
研究概要 |
日本列島を含む極東アジアにおける淡水魚類の起源と進化プロセスを考察する目的で、ロシアのアナディール川水系および台湾の河川・湖沼水系で魚類生息調査を実施し、得られたサンプルの分子系統解析を行った。また、国内において各対象分類群の系統学的・行動進化学的調査を実施し、以下に記す興味ある知見を得た。 1.アナディール川水系では、11科15属15種の魚類が採集され、このうちカワヤツメとイシカリワカサギではそれぞれ日本産集団と分子系統学的に極めて近縁な関係にあることが示された。また、L.reissneriについては、最近の地質年代に東ユーラシアへ急速に分散したと推測された。 2.台湾の河川・湖沼では20科50種以上の魚類が採集され、mtDNA解析により、フナ類では台湾産の集団が一つの系統群を形成し、中国本土や日本産の集団とは異なることが示された。 3.北海道産ヤチウグイとロシア産ダルマハヤの分化を遺伝マーカーを用いて解析した結果、両者は別のグループに分かれ、それぞれを亜種とする見解を示唆した。ヤチウグイは比較的新しい時代にシベリア・サハリンから北海道に分布を広げた1系統であることが認められた。 4.東アジアのトミヨ属魚類を対象に、AFLP法を用いて種系統を解析した結果、遺伝的に大きく分化した3つの系統(系統A-C)が見出された。系統Aは汽水性の1種から、系統Bはオホーツク海から周日本海に分布する淡水性の1種から、また系統Cはエゾトミヨ、トミヨ属雄物型と絶滅種ミナミトミヨを含む複数の淡水性種から構成されていると判明した。 5.遺伝的に大きく分化したイトヨ太平洋型遡河回遊性集団とイトヨ日本海型の異所的および同所的集団を用いて配偶者選択実験を行った結果、求愛行動と体サイズに2型間で差異が認められ、これらが生殖的隔離機構として働いていることが明らかになった。
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