研究概要 |
寒・温・熱帯湖のうち本年度はバイカル湖に焦点をあて,その沿岸帯(水深1〜5m)の底生生物群集において,藻類等の生産者に依存した生食連鎖群と生物遺骸等に依存した腐食連鎖群の量的比較を試みた。そのために,2003年7月,9月,および2004年2月にバイカル湖に赴き,ロシア陸水研究所の研究者とともに沿岸部礫帯において潜水調査を行った。付着藻類等生産者の生産速度の測定は明暗ビン法により行い,生産者の現存量,生物遺骸等のデトリタス量,および底生動物の種組成・現存量の測定を行った。あわせて主な種群を対象に,底生動物の消化管内容物の検鏡分析およびそこに含まれるクロロフィル量の測定を行った。また,水温の低いバイカル湖では底生動物(ヨコエビ類や巻貝類)の消化速度が著しく遅いことが判明し,それらの呼吸速度や消化速度に関する調査も行った。得られた底生動物は各種(または種群)ごとに検量後,乾燥保存されており,今後これらの試料を用いて安定同位体分析を行う予定である。その他の得られたデータは現在解析中である。
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