研究概要 |
(1)熱帯雨林内におけるミバエ類とラン科植物の送粉共生系の実態調査 2003年9〜10月にかけてTan Keng Hong博士と共にBulbophyllum属ミバエラン類が自生するマレーシアSabah州(ボルネオ島)各地において生態調査・材料収集を行なった. 1)Tenomの野生ラン保護センターにおいて,Bulbophyllum patensに訪花するミバエ種を同定,花およびミバエの採集,花粉授受の観察,写真撮影をした.また,農耕地帯とのミバエ種相の比較を行なった. 2)Sandakan森林研究センターならびに蘭保護地域において,Bulbophyllum属ランの生態調査を行なった.開花しているランへの訪花昆虫相,種子果実形成状況など多岐にわたり観察した.ここでは,ラン分類学者のJ.Vermeulen博士と合流し,Bulbophyllum praetervismの果実の確認,希少ミバエランであるBulbophyllum bailelの花の採集などをすることができた. 3)Kinabalu山の中腹の比較的冷涼な地域においてラン類の比較植生調査を実施した.特定のラン種に対する昆虫相の訪花頻度を記録した. (2)ミバエ類を誘引するBulbophyllum属ラン花香成分の化学的解明 上で採集した多数のラン花組織サンプルならびに開花中のランから直接空気捕集した試料をガスクロマトグラフィー等により分析し,ミバエ誘引成分の特定を行なった.
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