研究課題/領域番号 |
15405023
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
坂田 完三 京都大学, 化学研究所, 教授 (20087563)
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研究分担者 |
清水 文一 京都大学, 化学研究所, 助手 (50324695)
水谷 正治 京都大学, 化学研究所, 助手 (60303898)
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キーワード | 台湾高級鳥龍茶 / ウンカ茶 / 香気生成の分子基盤 / 東方美人茶 / 白亳烏龍茶 / ストレス応答 |
研究概要 |
本研究の目的は、本来チャ樹の害虫であるウンカまでも利用して台湾で独特の発展を遂げた香り高い高級烏龍茶(東方美人)の製法の秘密を分子レベルで明らかにすることである。台湾茶業改良場長林木連博士他、台湾での茶業の専門家の協力を得て、下記の調査研究を行った。ウンカ茶の最盛期にSARS騒ぎが勃発したため、林木連博士らにチャ葉試料のサンプリングを依頼した。我々は9月3〜6日まで台湾茶業改良場を訪問し、現地調査を行った。 (1)高級台湾烏龍茶のサンプリング:高級烏龍茶の製造は、通常の烏龍茶のチャ葉摘採時期よりやや遅れてウンカの大量発生を待って行われる。サンプリングは6月初旬に行った。同一品種(青心大有種)のチャ樹の新芽で、ウンカの吸汁行動の有無の試料で別々に烏龍茶を作り、各製茶工程(日光萎凋、攪拌など)で適宜サンプリングした。RNA抽出用のチャ葉は現地で直ちに凍結後、日本へ空輸した。香気分析用試料は各工程の後、さらに炒青、揉稔、乾燥し製茶したものを作製した。我々は9月初めに台湾の現地調査を行い、上記香気分析用試料を日本へ持ち帰った。 (2)高級烏龍茶の香気特性の把握:ウンカの吸汁行動および製茶工程が烏龍茶の製品にどの様に反映されているかを定量的に把握するため、ウンカの吸汁行動のあったチャ樹の新芽を用いて烏龍茶を作り、原料から製品までの各製造段階でのサンプル採取を行った。これらの試料の香気特性の分析は専門家による評価が必須と考え、高砂香料(株)総合研究所のご協力を得ることにした。 (3)ウンカの吸汁刺激によるチャ葉香気生成機構の解明 上記のように烏龍茶製造案験によって得られたチャ葉を用いて以下のような実験を行った。ウンカ刺激なしの新鮮チャ葉をコントロール試料、ウンカ吸汁ありのチャ葉をさらに日光萎凋と攪拌を一回行ったチャ葉を比較試料とした。それぞれからtotalRNAを抽出し、マイクロビーズアレイ法によりウンカ吸汁刺激誘導性遺伝子の網羅的検索を進めている。
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