本研究は熱帯サンゴ礁の起源とされるインドネシア沿岸に生息する魚類を定期的に採集し、そして生殖腺の発達の年変化と月齢にあわせた変動を調べるともに、サンゴ礁魚類における月齢同調性産卵現象の広がりと成立要因を探ることを目的に行われた。 本年度調査(平成16年10月9日から20日) インドネシア中部ジャワスマラン周辺海域に生息する魚を昨年に引き続き定期的に採集した。また、ディポネゴロ大学協同研究者に採集を依頼しておいたサンプルを受け取り、現地において協同研究者とともに解析を行った。その結果、中部ジャワ近海に生息する魚の繁殖期は、種によって大きく異なることが判明したが、乾季から雨季(日本では春先に相当)、もしくは雨季から乾季(日本では秋口に相当)に当たる時期に多くの魚が繁殖のピークを持つことが判明し、このような季節の変動が繁殖時期の開始に何らかの影響を与える可能性が考えられた。インドネシア近海に生息するアイゴ類を11種類採集することができ、これらの魚について産卵期に月齢に伴い採集し、月齢同調性産卵の有無を調べた。その結果、複数の魚種で月齢同調性産卵成立の可能性が認められた。沖縄にも生息するゴマアイゴについて比較した結果、本種はインドネシアでも沖縄でも同じ月齢(上弦の月付近)で産卵を繰り返していた。従って、同種で見た場合、地球上のどこの場所に行っても同じ月齢で産卵している可能性があった。現在、日本に持ち帰ってきた生殖腺のフォルマリン標本を組織学的に観察している。
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