研究課題
中国のヒツジに寄生するタイレリア原虫は日本カモシカに寄生する同原虫と近縁関係にあるため、わが国でも野生動物における保有状況を明らかにするための分子疫学調査を実施した。岐阜県内で捕獲されたカモシカ4頭の血液ならびに付着マダニ(Haemaphysalis japonicum)について、DNAを抽出し、タイレリア特異的プライマーを用いて16sRNA遺伝子をPCRで増幅したところ、マダニ試料から特異的な増幅バンドが認められ、ダニでのタイレリア玄原虫感染が確認できた。今後ヒツジへの伝達性を検討するのに加え、主要抗原の比較を蛋白質、核酸レベルで実施する。本年度は研究協力機関である蘭州獣医学研究所で研究調査を実施した。初春のダニ発生期にあわせ、2004年5月、中国甘粛省においてヒツジに付着するマダニ(Haemaphysalis qinhaiensis)を採取し、cDNAライブラリーを構築した。同ライブラリーについて、同ダニ付着ウサギ血清でスクリーニングし、血清抗体と反応するいくつかの陽性クローンを得て、塩基配列を解析した。今後、これらのcDNAの全長を明らかにするのに加え、抗ダニワクチン候補抗原の更なる解析を実施する。ヒツジタイレリア原虫についても、実験感染ヒツジから精製した原虫(ピロプラズム)を出発材料としてcDNAライブラリーを構築した。現在イムノスクリーニングを行い、抗原蛋白質遺伝子の同定を実施中である。また同所ではヒツジタイレリア原虫に対するモノクローナル抗体を作製中であり、認識抗原の解析、遺伝子クローニングも引き続き実施する計画である。
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