研究課題/領域番号 |
15405037
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
福田 勝洋 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (10012022)
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研究分担者 |
木村 順平 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (30177919)
岩下 新太郎 三菱生命科学研究所, 主任研究員 (90092147)
宗宮 弘明 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (50147972)
佐々木 基樹 帯広畜産大学, 畜産学部, 助手 (50332482)
遠藤 秀紀 国立科学博物館, 動物研究部, 研究官 (30249908)
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キーワード | マメジカ / 反芻動物 / ルーメン微生物 / 網膜節細胞 / タペータム / 怪網欠損 / 浸透圧抵抗性 |
研究概要 |
マメジカは現存する最小の偶蹄類で2属4種が生息する。偶蹄類の進化の早い時期に分岐し、その後大きな変化もなく現在に至ったため、反芻動物の原始的な姿を留めるとされる。本課題による過去の研究から、マメジカは日中も活発に活動し、染色体解析からオオマメジカとジャワマメジカでのY染色体短腕の差異、赤血球の小孔、怪網の欠損、汎毛胎盤など、偶蹄目反芻亜目に属するにも関わらず、偶蹄類とは異なる特異な特徴がみられた。本年度の研究から、マメジカのルーメン微生物では繊毛虫のうち、Isotrich属のI.jalaludinii、pH6.0以下を好むEntodinium属のE.simplex、E.dubardi、E.anteronucleaatum、E.nanellum、E.convexumに加え、E.parvumおよび未知の新種が見出され、これをE.sp.と仮称した。マメジカの赤血球はそのサイズが極めて小さく、さらに小孔に連なる内部の腔所をもつが、赤血球の浸透圧抵抗性に関しては、低浸透圧での溶血で対照としたヤギとの差はなかった。視覚の解析では、網膜にタペータム(網膜内反射板)があり、網膜神経節細胞の分布からマメジカは日中もジャングルの薄明下で活動し、前方よりも背後方に注意を向ける臆病な性格であることが形態学的に立証された。反芻動物一般で脳への血液供給に働く怪網がマメジカでは欠損するが、怪網の役割である血液の冷却には、内頸動脈を囲む静脈洞が関与する機構を備えていた。
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