研究分担者 |
野上 貞雄 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (90172767)
壁谷 英則 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (10318389)
玄 学南 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 助教授 (10292096)
猪熊 壽 山口大学, 農学部, 教授 (70263803)
土屋 耕太郎 日本生物科学研究所, 主任研究員 (70207405)
|
研究概要 |
中国新疆ウイグル自治区の牛146頭,山羊133頭,羊134頭,馬85頭,ロバ93頭,豚30頭の血清を材料に,免疫蛍光抗体法によりエールリッヒア4種Anaplasma phagocytophilum, Ehrlichia chaffeensis, Ehrlichia canis, Neorickettsia ristici,およびリケッチア1種Rickettsia japonicaに対する抗体を検索したところ,牛23頭(15.8%),山羊6頭(4.5%),羊29頭(21.6%),驢馬1頭(1.1%)が,いずれかのエールリッヒアと抗体価20倍以上で反応を示した。またR.japonicaに対しては牛9頭(6.2%),山羊15頭(11.3%),羊8頭(6.0%),馬3頭(3.5%),驢馬1頭(1.1%)が抗体価20倍以上で反応した。これらのことからリケッチア性病原体が新疆地区の家畜に感染していることが示唆された。 同自治区の北部(アルタイ地区),西北部(イリ地区)及び西部(カシュガル地区)から計155頭のウマ血清と93頭のロバ血清を採集し,バベシア原虫抗体の検索を行った。B.equiに対する抗体測定には組換えEMA2を抗原としたELISA法を,また,B.caballiに対する抗体測定には組換えBC48を抗原としたELISA法を用いた。ウマのB.equiとB.caballi抗体陽性率はそれぞれ58.7%と58.0%であった。また,ロバのB.equiとB.caballi抗体陽性率はそれぞれ9,6%と38.7%であった。これらの結果より,ウマ・ロババベシア感染症が新疆地域に広く浸潤・蔓延していることが示唆された。 同自治区西部(カシュガル地区)の肉用鶏42羽の血液原虫3属(Plasmodium, Haemoproteus, Leucocytozoon)の感染状況を薄層塗沫標本ならびにPCR法(ミトコンドリアチトクロームb遺伝子)を用いて調査した。いずれのサンプルからも血液原虫は検出されなかったため,次年度以降はさらに調査地域・対象鳥類等を考慮して材料採取および解析を行う予定である。
|