研究概要 |
本研究は、熱帯アジアの草地、荒廃地等の無立木地への環境造林を想定し、現地の複合した環境ストレスに耐性のあるフタバガキ科樹木種を選び出し、種に適合した育苗・植栽法を提示することを目的としている。本年度は、タイ国ナラティワート県の砂質土壌の荒廃地に、タイ国天然資源環境省国立公園・野生生物保護局のタニット・ヌイム氏と共同で試験地を設置し以下の成果を得た。(1)環境ストレスの推定および森林による環境緩和効果の解析のため、試験地の裸地と既存のAcacia mangium林内に、光合成有効光量子束密度、全天日射量、紫外線量、気温、湿度、土壌温度、土壌水分、地下水位のセンサーとデータロガーを設置し、連続測定を開始した。(2)光硬化処理(苗畑で植栽前に日覆いを取り苗木に強い光にあてる処理)の効果を明らかにするため、フタバガキ科樹木6種(Dipterocarpus obtusifolius, Hopea odorata, Shorea leprosula, S.roxburghii, Shorea sp., Neobalanocarpus heimii)の光硬化処理(4ヵ月)をした苗木としなかった苗木を育てた。2003年10月に、裸地と林内にそれぞれの苗木を植えた。その結果、どの種でも光硬化処理をすると植栽3ヵ月後の苗木の活着率が高くなった。(3)根切り処理(育苗の際、根を切って育苗ビニルポットに移すことにより、造林に適した根系を誘導する処理)の効果を明らかにするため、フタバガキ科樹木3種(Hopea odorata, S.roxburghii, Anisoptera sp.)の根切り苗と無処理苗を作り、4ヶ月間育苗した後、10月に裸地にそれぞれの苗木を植えた。その効果は今のところ明らかでない。(4)2004年度の光硬化処理試験、先行造林試験のための苗木の準備をした。
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