研究課題
本研究は、熱帯アジアの草地、荒廃地等の無立木地への環境造林を想定し、現地の複合した環境ストレスに耐性のあるフタバガキ科樹木種を選び出し、種に適合した育苗・植栽法を提示することを目的としている。本年度は、タイ国ナラティワート県の砂質土壌の荒廃地に設置した試験地での調査および実験室での解析により以下の成果を得た。(1)試験地の裸地とAcacia mangium林内に設置した各種の環境因子を測定するセンサーとデータロガーを用いて連続測定を行い、被陰によりAcacia mangium林内の環境が植栽木にとって改善されていることがわかった。(2)光硬化処理(苗畑で植栽前に日覆いを取り苗木に強い光にあてる処理)により、フタバガキ科樹木6種(Dipterocarpus obtusifolius, Hopea odorata, Shorea leprosula, S.roxburghii, Shorea sp., Neobalanocarpus heimii)の苗木の活着率を高められることがわかった。(3)Acacia属樹木6種の高温耐性を光合成や光阻害への適応により評価し、nurse treeの候補樹種が得られた。(4)フタバガキ科樹木Dipterocarpus obtusifoliusは、砂質土壌の荒廃地での成長が良く、露天光下での光合成能力が高いことがわかった。(5)先行造林法(裸地の環境ストレスに耐性のない目的樹種を造林するため、耐性があり成長が早い種をnurse treeとして先に植え、その樹間に目的樹種を植える方法)により、フタバガキ科樹木の苗木の活着率を高められることがわかった。
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Tree Physiology (印刷中)
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