研究課題/領域番号 |
15405044
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
高田 秀重 国立大学法人東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助教授 (70187970)
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研究分担者 |
渡邉 泉 国立大学法人東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助手 (30302912)
中島 典之 東京大学, 先端科学技術研究センター, 講師 (30292890)
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キーワード | 多環芳香族炭化水素 / ホパン / 石油 / 熱帯アジア / 重金属 / 微量元素 / 生物利用性 / 東南アジア |
研究概要 |
本年度はベトナムのホーチミン市、カンボジアのプノンペン、トンレサップ湖、クラチエ、マレーシアのクアラルンプール(クラン川)で堆積物の採取を行った。カンボジアの非都市域のクラチエとトンレサップ湖では低濃度の燃焼起源多環芳香族炭化水素(PAHs)が検出され、大気経由で運ばれた燃焼起源PAHsが広く低濃度で熱帯アジア地域に広がっていることが示された。一方、ベトナムのホーチミン市、カンボジアのプノンペン、マレーシアのクアラルンプールの堆積物からは石油起源PAHsとホパンが高濃度で検出され、熱帯アジアの都市域で自動車由来の炭化水素が水域へ活発に流入していることが明らかになった。これらの都市の水域堆積物では高濃度の亜鉛、カドミウム、鉛が高濃度で検出された。さらに、これらの元素と石油起源PAHsおよびホパンとの間に高い相関が認められ、これらの元素が自動車交通由来であることが明らかとなった。亜鉛とカドミウムは自動車のタイヤ、鉛は有鉛ガソリンが主な起源と考えられた。さらに、これらの元素の淡水魚(ライギョ)中の濃度は、雨季に高く乾季に低い傾向が認められた。以上の観測結果から、熱帯アジア水域では自動車交通由来の有機・無機の汚染物質の水域への流入が活発に起こっており、それは雨季の表面流出により促進されている、という熱帯アジア固有の汚染物質の流入像が示唆された。自動車由来の石油起源PAHsの活発な流入が明らかとなったマレーシアクアラルンプールのクラン川堆積物へ底生生物模擬消化管液(SDS水溶液)抽出法を適用して、堆積物中自動車由来の石油起源PAHsのbioaccessibilityの評価を試みた。堆積物採取直後に冷凍せずにSDS抽出を行う必要があったので、機材をマレーシアに運び、SDS抽出を現地研究室で行った。測定の結果、高いbioaccessibilityが観測された。
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