研究課題/領域番号 |
15405045
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 教授 (50135597)
|
研究分担者 |
栗原 達夫 京都大学, 化学研究所, 助教授 (70243087)
三原 久明 京都大学, 化学研究所, 助手 (30324693)
吉村 徹 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (70182821)
|
キーワード | 好冷微生物 / 低温菌 / Pseudomonas / プロテアーゼ / タンパク質生産 / 分泌生産 / TypeI分泌装置 |
研究概要 |
外来タンパク質を分泌生産するための宿主として有用な低温菌のスクリーニングを行った。アラスカ永久凍土、スイス高山土壌から、4℃で良好に生育する低温菌を27菌株単離した。これらは16S rDNA配列解析により、Bacillus属、Pseudomonas属、Rhodococcus属細菌に分類された。外来タンパク質生産の宿主としての有用性を調べるため、低温におけるタンパク質生産能と分泌能を試験した。その結果、Pseudomonas属に分類されたAk26株、SK2r6株、SJ2r1株の培養上清に、大量かつほぼ単一に発現しているタンパク質が認められた。これらのタンパク質と融合させることで外来タンパク質の分泌高生産が可能になると期待される。そこで、これらをコードする遺伝子の配列解析を行った。その結果、Ak26株の生産する分泌タンパク質はPseudomonas fluorescens由来Hemolysin-coregulated protein(Hcp)のホモログ、SK2r6株とSJ2r1株の生産する分泌タンパク質はいずれもPseudomonas fluorescens由来プロテアーゼ(PrtA)のホモログであることが明らかになった。Ak26株のHcpホモログの上流遺伝子解析によりプロモーター配列が確認され、これを利用することにより、組換えタンパク質の生産を促進できることが期待される。SK2r6株とSJ2r1株のPrtAホモログは、内部アミノ酸配列から、TypeI分泌機構により分泌される菌体外プロテアーゼであると予想された。Pseudomonas fluorescensのprtA遺伝子の下流には、TypeI分泌装置として働く膜タンパク質をコードする遺伝子群が存在し、その分泌装置を利用してPrtAが分泌されていると考えられている。今回得られた2菌株にも同様の分泌装置が存在することが予想され、外来タンパク質分泌生産システムへの応用が期待される。
|