研究課題/領域番号 |
15406003
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
本多 義昭 京都大学, 薬学研究科, 教授 (00093310)
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研究分担者 |
木内 文之 国立医薬品食品衛生研究所, 筑波薬用植物栽培試験場, 室長 (60161402)
高石 善久 徳島大学, 薬学部, 教授 (60035558)
武田 美雄 徳島大学, 総合科学部, 教授 (70025716)
伊藤 美千穂 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (30283592)
飯田 彰 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (40202816)
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キーワード | トルコ系民族 / フィールドワーク / 伝統薬物 / 中央アジア / 薬用植物 |
研究概要 |
本年度は、ウズベキスタン西部地域の現地調査とこれまでの調査から得られている伝統薬物および薬用植物の天然物化学的研究を行った。 ウズベキスタンでの現地調査は、2004年8月1日より8月19日の日程で、これまでの調査で未踏のブハラ以西アラル海沿岸部までの地域を重点的に調査した。ウズベキスタン中央部から西部地域は河川流域を除くとほとんどが砂漠地帯であるが、アラル海近くにはアラル海へ注ぎ込むアムダリア川の流域があり、以前は水の豊富な肥沃な土地であった。しかし、最近10年ほどは河川流域の水使用量の増加から水量が極端に減少し、アラル海が非常な速度で縮小していくと同時に塩分濃度が上昇し、アラル海の水産資源によって生計を立てていた周辺住民は生活が成り立たなくなっている。加えて、昨年と一昨年は異常な旱魃が続き、多くの住民が移住を余儀なくされた。このため、調査の拠点としたヌクスの街は疲弊しており、生活用水の水質も非常に悪く、人口は以前の3分の1にまで減少していた。周辺の植生も変わってしまっているらしく、耐塩性植物が目立ち、木本は少なかった。現地協力者の案内で後退してしまった旧アラル海の湖底部分やその周辺部、都市部周辺、河川流域などで薬用植物とカンゾウの採集を行い、現在、それらの生物活性を指標とした成分分析、系統解析等の実験が進行中である。 本研究の前部にあたる「トルコ系民族の伝統薬物に関する比較調査研究(2)」の最終年度に収集したサンプルを用いた研究では、Verbascum songaricumよりDNA polymerase阻害活性をもつ2種類のPhenylethanoid glycosidesが得られた。またDracocephalum komaroviからは、新規骨格を有するジテルペンで抗トリパノソーマ活性を有する化合物が得られた。またカンゾウ属植物については、各種の分析から、自然交雑による雑種と思われる個体が相当数存在することや、葉に含まれるフェノール性化合物の種類や多様性が明らかになり、また形態の種内変異の詳細の一部も明らかにすることができた。
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