研究課題/領域番号 |
15406013
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
青笹 克之 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30115985)
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研究分担者 |
高桑 徹也 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40244933)
星田 義彦 大阪大学, 医学部附属病院, 助教授 (40324777)
西宇 美恵子 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90335349)
本行 忠志 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90271569)
猪原 秀典 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00273657)
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キーワード | 鼻腔リンパ腫 / NK / T細胞 / EBウィルス / 農薬 / 疫学 / 遺伝子変異 |
研究概要 |
1.日本、韓国の鼻腔NK/T細胞リンパ腫100症例のパラフィン包埋材料から抽出したDNAを用いてPCR-SSCP法とダイレクトシークエンスにより、P53、c-kit,K-ras,β-catenin遺伝子変異を検討したところ、日本と韓国例には以下の相異がみられた。(1)P53変異の頻度は日本62%、韓国例31%(P<0.05)、(2)P53のエクソン4の変異頻度は日本31%、韓国例7%(P<0.01)、(3)有意差はないもののK-ras,C-kit,β-catenin変異の頻度は日本の方が韓国より高かった。以上の結果は鼻腔リンパ腫の遺伝子変異頻度に地域差があることを示している。以前、本研究者は中国東北部の鼻腔リンパ腫についての同様の調査を行ったが、韓国と極めて類似したデータを得ている(Cancer Sci 2003)。これらのことから、鼻腔NK/T細胞リンパ腫の発生要因として生活環境や遺伝学的な要因などの地域的な要因が考えられる。 2.1で得られた知見も参考にして、preliminaryをデータであるが、インドネシアの編桃リンパ腫のうちB細胞性のもの20例について調べるとEBウィルス陽性例はなかった(0%)。本研究者は以前に本邦(大阪、沖縄)の扁桃リンパ腫の調査を行ったが、B細胞性のもののうちEBウィルス陽性率は20-40%であった(Mod Pathol 1997)。以上の点は扁桃リンパ腫の発生要因にも地域差があることを示唆している。今後の検討対象となる。中国、韓国、日本の鼻腔NK/T細胞リンパ腫症例について、リンパ腫発生と農薬を中心とした生活、環境要因との関連についてのアンケート調査を実施してきた。現在80例をこえる症例の登録があることから、2005年3月末をもって打切りとし、春以降にデータの解析に入る予定。 3.インドネシアの鼻腔リンパ腫35例について調査したところ、57%はNK/T細胞性、43%はB細胞性であった。in situ法によるEBウィルスの検索を行ったところ、NK/T細胞性の90%はEBウィルス陽性であったが、B細胞性は全て陰性であった。
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