研究課題/領域番号 |
15406016
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
寄生虫学(含衛生動物学)
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
平山 謙二 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (60189868)
|
研究分担者 |
菊池 三穂子 長崎大学, 国際連携研究戦略本部, 講師 (40336186)
上村 春樹 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (60184975)
肥後 広夫 九州大学, 大学院医学研究院, 助手 (80117225)
濱野 真二郎 九州大学, 大学院医学研究院, 助手 (70294915)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2006
|
キーワード | 心臓シャーガス病 / 宿主要因 / ボリビア / クルーストリパノソーマ / プールDNA / 巨大結腸症 / マイクロサテライトマーカ / Diagnosis |
研究概要 |
ボリビア:南米ボリビアのサンタクルズ市の熱帯医学研究所を中心とした4つの研究施設あるいは病院からメスチソと言われる集団より40歳以上の感染後無症状患者(43名)、20歳から50歳の消化器症状のない心臓シャーガスの患者(55名)、および消化器シャーガス(巨大結腸症)患者(50名)の血液を収集した。この際、臨床型の確認の為すべての対象者に心電図、胸部X線および注腸造影検査を施行した。パラグアイ:西部原住民居留地区のCorai地区において住民147名(1才〜78才)に対して抗体検査を行った。その結果、抗体陽性者は全体の75.9%で、5才以上では72.7%、5才未満では54.5%であった。この地区においては平均5才程度で感染が成立している事が観察されたため、集団中に24%程度存在する5才以上の抗体陰性者は、感染抵抗性を示していると考えられた。そこで、さらに高感度な抗体検査法であるトランスシアリターゼ抗体価を測定したところ、抗体価が陰性であってもトランスシアリターゼ抗体陽性者が63.2%(12119)存在した。これらのトランスシアリターゼ抗体陽性/抗体陰性者を多数収集し、その遺伝的背景を明らかにする為に家系調査を行った。現在12家系の調査が終了し、心電図検査による心臓シャーガスについても調査を開始した。 シャーガス病は中南米に蔓延する、寄生性原虫であるTrypanosoma cruziの感染により起こる慢性疾患で、病態には心臓シャーガスと巨大結腸の2つの異なる病態を示すが、その原因は病原体側の病原性によるものなのか、宿主要因によるものかについては明らかにされていない。本研究はシャーガス病の重症化を規定するヒト宿主および原虫の遺伝要因を分子レベルで明らかにする事を目的として研究を行った。対象地としたボリビアの首都、Santa Cruz周辺ではクルーストリパノソーマ感染症であるシャーガス病が猛威をふるっており、この地方では特に巨大結腸症という合併症を伴う例が多数存在する。ボリビア熱帯医学研究所を中心とした4つの研究施設あるいは病院の協力を得て、メスチソと言われる集団より40歳以上の感染後無症状患者(60名)、20歳から50歳の消化器症状のない心臓シャーガスの患者(71名)、および消化器シャーガス(巨大結腸症)患者(72名)の血液を収集した。この際、臨床型の確認の為すべての対象者に心電図、胸部X線および注腸造影検査を施行した。現地でDNA抽出を行い、DNAとして長崎大・熱研にサンプルのほぼすべてを空輸した。また、シャーガス病の発症機序に最も関連が深いと考えられる免疫血液関連分子をコードする遺伝子領域の180の候補遺伝子との相関について解析可能なマイクロサテライトマーカーを設置し、現在、プールDNA法を用いたマイクロサテライト解析が可能であることを確認した。これらのDNAサンプルを対象に、血液内の原虫DNAを数種のPCRプライマーを用いて増幅を試み、約9割の患者からDNAを増幅することに成功した。その中には抗体検査で陰性の者も認められ、PCR検査がより鋭敏な感度の良い検査法であることが示唆された。
|