研究課題/領域番号 |
15406017
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
青木 克己 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (90039925)
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研究分担者 |
門司 和彦 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (80166321)
渡辺 幹次 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (70325679)
金武 洋 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50100839)
野俣 浩一郎 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (80189430)
浜本 満 一橋大学, 社会学部, 教授 (40156419)
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キーワード | ビルハルツ住血吸虫 / 排尿困難 / IPSS / 尿流量 / 治療 / 学童 / 膀胱 / ケニア |
研究概要 |
平成16年度は15年度の調査の継続により、より詳しい排尿困難の自覚症状の調査と駆虫薬プラジカンテル(PZQ)による排尿困難の改善効果を調べた。 調査の対象と方法: 調査対象を、使用した尿流量計測定が可能な男性で、種々の泌尿器疾患の影響を除外するために男子学童に限り、尿中虫卵検査、超音波による膀胱病変観察、International Prostate Symptoms Score(IPSS)を用いた排尿困難自覚症状調査、文化人類学者の協力を得て作成した独自の排尿困難調査表、および尿流量計を用いた排尿機能測定を行った。 調査結果: 1)IPSSを指標としたPZQによる排尿困難改善…膀胱病変を有す男子学童23名と、有さない学童23名のIPSSが、PZQ治療により一週間後と六ヶ月後にいかに改善するかを調べた。PZQにより膀胱病変と排泄虫卵数はかなり改善する。有病変群のIPSS値はいくぶん改善するが、無病変群のIPSS値の改善は六ヶ月後でも見られなかった。 2)文化人類学者の協力を得て作成した独自の排尿困難自覚症状調査…下記するごとく、排尿困難の性質について、興味ある所見が得られた。a)ビルハルツ感染学童は排尿後に灼熱感と、排尿終末又は後に痛みを訴える。痛みは恥骨上部に感じる。痛みの性状はヒリヒリする痛みでかつ痒く、排尿時には常に感じる。この灼熱感と痛みは治療によって、六ヵ月後もほとんど改善しない。 3)尿流量計による排尿機能測定…膀胱病変を有す学童は、病変のない学童に比し、最高排尿速度に達するまでの時間が短く、排尿速度が速い。治療による排尿測定の値の変化は見られなかった。 以上の結果は、治療により排泄虫卵数と膀胱病変は明らかに改善されるが、排尿困難の自覚症状は治療六ヵ月後でも改善されにくいことを示している。また本研究により、排尿困難の自覚症状の詳しい性状が明らかにされた。
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