研究概要 |
前2年度に続き、2005年11月に中国北京市内の2幼稚園の園児、12月に中国西安市内2幼稚園の園児を対象に陰膳実測法による食事調査、スポット尿、毛髪、爪の採取、身体計測および生活状況調査を行った。各幼稚園とも男女児各10名の20名、合計80名の園児について調査が実施できた。食事調査は現地の共同研究者が食品の分別・秤量・記録・食品のコード化を担当した。食事検体は一日の全食事をミキサーでペースト状とし、凍結保存した。なお、2004年度報告書に記載したが本年度の中国の園児の食事検体についても偶蹄類の肉を含む食品は動物検疫法の縛りから該当検体は中国の共同研究者の下で凍結・保存している。国内に持ち帰った各種検体中の微量元素類の測定は日本国内の調査検体と共に方法によった。前年同様に食事、米飯、飲料水、尿の各検体に加えて毛髪中のカドミウム(Cd)、鉛(Pb)、錫((Sn)を含む亜鉛(Zn)等の微量元素の測定を実施した。また、各国食品標準成分表による栄養摂取量の計算、アンケート調査の集計もひき続き進めた。 重金属のPbについては摂取量、尿中濃度および飲料水中濃度に日中韓の間で相違が認められた。Pb摂取量の宮城(日本)、済州(韓国)、北京(中国)、山東〔中国〕、湖南〔中国〕の各値(幾何平均値)は、3.5、5,4、13.3,14.9,14.6ug/dayであり、日本園児が最小で、次に韓国園児、中国園児は3地域ともほぼ同レベルの13〜14ug/dayと日本の4倍、韓国の3倍の高い摂取量となっている。 中国園児の尿中Pb濃度は都市部が1.6〜1.8、農村部が2.7〜6.8ug/Lと大きな違いが明らかになった。重金属の環境汚染との関連性が示唆される。
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