研究概要 |
多様な生活環境を持ちかつ急速な変化の中にあるアジア地域の小児の食生活と栄養摂取状況および健康への慢性影響が問題となる環境中微量元素に注目し、その実態と地域的な変動を明らかにすることを目的とした。調査は日中韓の各地域幼稚園/保育園、各園男女各20名を対象とした。調査は各国別の倫理指針に従い、各研究担当者が保護者から同意書を取って行った。食事は陰膳実測法による丸1日の全食事を採取し、同時に早朝スッポット尿、毛髪、爪の採取と身体計測を行い、質問紙法による生活状祝調査を実施した。国内は宮城県内15幼稚園の296名、韓国は済州道3幼稚園の76名、ソウル市の1幼稚園37名、中国は山東省済南地区の2幼稚園の80名、湖南省長沙地区の2幼稚園の79名、吉林省長春地区の2幼稚園の80名、北京市の3幼稚園の80名、西安市の2幼稚園の40名について調査した。各園児の栄養摂取量は当事国の共同研究者が最新の標準食品成分表を用いて整理した後、中塚が作成した栄養計算ソフトにより集計・整理した。食事検体は各食物を秤量後に一日分の全食事をミキサーで粉砕・混合でペーストにし、その一部を分取、検体とした。食事、尿、毛髪等はミネラル・微量元素の測定および標本試料として凍結保存。日中韓幼稚園児の栄養摂取量とミネラル・微量元素等を測定し、個人別の実測値の成績を得た。1.主要栄養素摂取量は各国の標準食品成分表によりエネルギー、たんぱく質、脂質,糖質、ミネラル類およびビタミン類の摂取量を算出した。2.ミネラル・微量元素摂取量は機器分析により個人別に実測値を得た。各元素とも多くは実測値と計算値とは正相関を示すが、実測による摂取量は計算値よりも低値を示した。3.環境汚染元素摂取量:食事、米飯、飲料水、尿中のカドミウム、鉛、錫を測定し、国・地域別相違を認めた。4.生活状況調査は各個人別に生活時間、乳児期栄養法、食事嗜好性等について調査した。
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