研究課題/領域番号 |
15406026
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
那須 民江 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10020794)
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研究分担者 |
上島 通浩 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80281070)
市原 学 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (90252238)
柴田 英治 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (90206128)
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キーワード | トリクロロエチレン / 全身性皮膚・肝障害 / 薬剤性過敏性症候群 / HHV-6 / 発熱 / 皮疹 / 脱脂洗浄作業 / アジア諸国 |
研究概要 |
近年、アジア諸国のトリクロロエチレン(TRI)使用職場で全身性皮膚・肝障害の発生が問題になっている。病因・病態に不明点が多いが、臨床所見は薬剤性過敏性症候群(DIHS)とも呼ばれる重症型薬疹や薬剤性肝障害に類似している。今年度はDIHSとの異同をより明確にすることを目的として、HHV-6抗体価高値を呈した症例の臨床的特徴を明らかにした。1.2002-3年に発症し職業病防治院で入院治療を受けた患者61名(男性22名、女性39名、年齢22.8±5.9歳)のうち、間接蛍光抗体法によりHHV-6抗体価が256倍以上を示した14名(男性2名、女性12名、年齢22.1±6.8歳;剥脱性皮膚炎(ED)9名、多型紅斑(EM)3名、皮膚粘膜眼症候群(SJS)1名、中毒性表皮壊死融解症(TEN)1名)について、各種臨床所見、薬物内服歴、作業内容を調査した。HHV-6抗体価高値の患者の初発症状は、熱発のみが4名(ED2名、EM1名、SJS1名)、皮疹のみが4名(ED3名、EM1名)、皮疹と熱発4名(ED3名、TEN1名)、皮膚掻痒感のみが2名(ED1名、EM1名)であった。2.14名全員に、発症から治癒までの経過中に発熱をみとめた。10名は間欠熱の出現が発症後第5週目以降にもみられた。このうち1名は入院期間中のHHV-6抗体価上昇が明らかな症例(ED)であった。3.初発皮疹は小紅斑(直径1m未満)が9名、丘疹3名、紅斑丘疹2名であった。4.粘膜病変を9名に、白血球増多(11000/mm^3以上)を7名に(1名は不明)、リンパ節腫脹を11名に、入院時の血液検査で肝障害を13名に(1名は不明)認めた。1500/mm^3以上の好酸球増多を認めた例は見いだされなかった。5.発症前後に感冒薬、抗生物質の投薬を受けた者は6名で、このうち2名は投薬時既に皮疹がみられた。5名(皮疹のあった1名を含む)は熱発に対する治療であった。6.患者の作業内容は、脱脂洗浄11名、プレス成型1名、洗浄後の製品検査1名で、曝露から発症までの期間は28.0±9.1日であった。
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