研究概要 |
今回調査の対象とした地域は雲南省西部保山市・臨滄地区(鳳慶県,臨滄県,双江拉〓族布朗族〓族自治県,耿馬〓族〓族自治県,滄源〓族自治県)および思茅地区(鎮〓彝族哈尼族拉〓族自治県,普〓哈尼族彝族自治県,思茅市)で,この地域に居住する主な少数民族はペー(白)族,イ(彝)族,プーラン(布朗)族,ワ(〓)族,タイ(〓)族,ラフ(拉〓)族である。各民族の密集する居住地に行き,以下の方法で情報を収集した。なお,採集した生の薬物はさく葉とし,乾燥品はそのまま標本とした。これらは中国科学院昆明植物研究所および徳島大学薬学部で保管している。 1.民族薬市場で売られている薬物を収集し,その売人に採集場所,効能,使用法などをインタビューする。可能であれば,売人にその採集場所を案内してもらう。 2.民族薬の知識が豊富な人物を訪ね,使用している薬物,効能,使用法などをインタビューする。 収集できた薬物情報は全部で344件で,そのうち178種類の薬物については種または属の同定が終了した。このうち,4種は動物起原,2種は製剤であった。民族別に収集した薬物を見るとワ族,ラフ族,プーラン族からの情報が多く,さらに昨年の東南部における調査とは異なり漢族からの情報も多く得られた。今回調査した雲南省西部は民族衣装を着用した人もほとんどなく,民族色の強い東南部とはかなり状況が異なっていた。市場には省外(四川省など)から漢薬を売りに来ている人も多く見られ,また,市場によっては民族薬をほとんど売っていないところもあった。
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