研究概要 |
本年度は,拡張正規表現に一致する文字列を検索するための効率的な検索アルゴリズムの開発および評価,さらに,類似文字列を検索するための近似検索アルゴリズムについて,以下の研究を行なった。 1.ビット並列論理演算を利用した高速なビット並列型検索アルゴリズムの開発および評価 通常,コンピュータでは,ワード単位で論理和,論理積などのビット並列論理演算が可能であり,このような演算がアルゴリズムの高速化に有効であることが知られている。本年度は,研究代表者である山本が開発したモジュール分割法にビット並列論理演算を導入し,拡張正規表現に一致する文字列を高速に検索するアルゴリズムを開発した。さらに,実際にこのアルゴリズムを実装し,実験的に効率さを評価した。この成果は国際会議で受理され,発表している。 2.ハイブリッド型検索アルゴリズムの開発 我々のアルゴリズムは,拡張正規表現を,正規表現を表す断片に分割し、各断片を非決定性有限オートマトンに変換する。もしその断片が小さければ、さらに決定性有限オートマトンに変換することによって高速化が期待できる。本年度は,次年度に向け,断片のサイズによって非決定性,決定性を使い分けるハイブリッド型アルゴリズムの基本設計を行なった。 3.近似検索アルゴリズムの開発 共通集合演算だけを持つ正規表現(準拡張正規表現)に対し,より高速な近似検索アルゴリズムを開発した。我々は,山本が開発したモジュール分割法と正規表現の近似検索アルゴリズムの設計に用いられた手法を融合することによって新しいアルゴリズムを開発した。この結果も,国際会議で受理され,発表している。
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