研究概要 |
素数pの冪qを固定して,q元体Fを考える。F上の射影平面の非斉次方程式y^q+y=x^<q+1>で定義された曲線をHermitian曲線といいXであらわす.X上の1点符号については,Stichtenoth, YangとKumarの仕事により1990年代の早い時期にそれらの次元,最小距離が決定されているが,2点符号についてはMatthews(2001),Kimと著者(2001)によるΩ構成法による2点符号についての散発的結果しか知られていなかった.今回の研究ではL構成法による2点符号の次元および最小距離を組織的に調べることに主眼をおいた.以下得られた結果を列挙する.Xの自己同型はすべてF上定義され自己同型群はXのF有理点全体X(F)に2重推移的に働くので,(1)それら2点はP=(001)とQ=(010)として良い.関数加群L(mP+nQ)とX(F)-{P,Q}から得られる符号をC(m,n)と書くとき,次元および最小距離はHamming距離を保存する同型では不変なので(2)0【less than or equal】n【less than or equal】qとして良い.この区間にあるnを固定して(0)⊆...C(m-1,n)⊆C(m, n)⊆...⊆F^N(N=q^3-1)というF部分空間の列を考えると各ステップで等号が成立するかあるいは次元が1上がるかのどちらかであるので,C(m-1,n)≠C(m, n)となるmを全て表示すれば次元がわかったことになるが,(3)その表が各nについて記述できる.(このスペースにその表を示すことは困難であるので省略する.)(4)n=0の場合には1点符号の結果を用いることにより,全てのmについて最小距離が決定できた.さらにある特別な関数を用いることにより,n=0で設計距離を到達する場合の情報がn=qについての結果に翻訳され,1点符号の場合に類似な議論によって,(5)n=qの場合にも全てのmについて最小距離が決定できた.最小距離がn=0,qの場合に決定できたことにより,簡単な議論で(6)0<n<qの場合にも,mが比較的大きいところと比較的小さなところで最小距離を知ることができた.
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