Webアプリケーションにおいてはデータフローの制御が問題となる。Webブラウザの「戻る」ボタンによって、ユーザは自由に過去に訪れたページに戻り、そこから作業を再開することができる。そのため、Webアプリケーションの処理が期待する順序通りに行われない可能性があるからである。 我々はWeb遷移図というWebアプリケーションの動作を表す図からWebアプリケーションを生成するシステムを提案してきたが、そのシステムが生成するWebアプリケーションも同様な問題を持っている。 その問題に対する1つの解決法はWebブラウザの履歴情報の使用を禁止することであるが、この方法はWebアプリケーションの利便性を著しく低下させる。 そこで我々は、セッション図という図とその構成法を提案した。セッション図は、Webアプリケーションを構成する処理プログラムの可能な動作列を記述した状態遷移図である。この図によって、処理プログラムの実行回数について、1回のみ、1回以上、高々1回、条件が達成するまで、といった指定が可能となった。 さらに我々が提案してきたWebアプリケーション生成系とセッション図を連携させることにより、Web遷移図とセッション図が表す振る舞いをするWebアプリケーションを自動生成できるようにした。 以上により、ユーザにとっての利便性を失わず、Webアプリケーションを正しく動作させることが可能となった。
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