研究概要 |
平成15年度の研究実績は以下のとおりである. (1)UML・仕様大規模合成 情報システム開発の初期に来る要求分析工程において仕様の大規模合成が必要となっているが,現在その作業が大きな課題となっている.そこで,UMLで記述した仕様をいくつも合成した要求仕様のレビュー作業を支援するためのCASEツールを研究し,そのプロトタイプを作成した.UML自体のCASEツールは既に多数,存在しているので,それらのツールをルーズリーに結合するためのシステムを作成した. (2)システム分析 業務分析の種々の手法について情報を集めるとともに,その試行も行った.従来,無駄を排除するためのリーン・メソッドが良く適用されていたが,最近は組織の全体最適化を図るための制約理論(TOC, Theory Of Constraint)に期待が集まっている.これらの手法の組み合わせ適用を試行することによって,それぞれの手法の役割が判明した.また,従来適用されて来たリーン・メソッドについては,当方で研究中の業務分析プロセス・モデリング技術を適用して,CASEツールのプロトタイプを作成した. (3)プロジェクト・マネジメント プロジェクトの進捗を管理するための方法として,従来からEVM(Earned Value Management)が存在している.一方,変化の激しい現在においては,システムを開発している途中に,プロジェクト要件の価値評価が変化することがある.さらに,その変化を考慮して,プロジェクト計画を修正することもある.そこで,ERVM(Earned Requirement Value Method)をモデリングし,そのモデルを適用したCASEツールのプロトタイプを作成した.その際,既存のプロジェクト・マネジメント用ツールに存在する機能は活用するため,そのツールとの結合を図った. 国内において,プロジェクト・マネジメントは現在,発展期にある.そこで,平成15年10月にプロジェクト・マネジメント学会の九州支部を設立し,九州・山口地域においてプロジェクト・マネジメントの普及を図るとともに,プロジェクト・マネジメントの最新動向を吸収し,研究へ反映している.
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