研究の背景と目的 近年の高速インターネット環境の急速な整備、および携帯電話の急速な普及にともない、次世代ネットワーク社会の基盤技術の整備の重要性が高まっている。特に、このインターネットと携帯電話という2つの通信基盤が可能とする場所と時間を問わずにアクセス可能なユビキタス・ネットワークという新しい社会インフラを使った、新しい産業とそのための技術開発は極めて重要である。 本研究では、上記目的を達成するために、市場、特に個々のユーザの嗜好を分析するワンツーワン・マーケッティング技術の高度化が必須であると考え、ユビキタス・ネットワーク社会におけるワンツーワン・マーケッティング基盤の研究を目的とする。すなわち、何時・何処で、どのような人が、どのようなニーズを持っているかを、ネットワークを通してリアルタイムで解析する技術を研究している。 平成15年度の研究実績 研究初年度にあたる本年はネットワーク上の販売データ、顧客情報などの洗い出しを行いデータ構造の基本設計、解析方法の基本設計を行った。特に大容量のWWWデータの解析に焦点をあて、次の2つの技術を開発した。 1.グラフを使ったWWWデータ解析技術 従来の解析手法が対象としていた表形式のデータ構造ではなくグラフ構造を持ったデータ構造を解析する方法としてGraph Based Induction法の改良を行い、従来手法が利用していた縮約操作にともなうGreedy性を押えたStepwise entropy analysisというアルゴリズムを考案した。 2.キャッシュを使った高速解析技術 WWW関連データには偏りの大きなものが多い事に着目して、Direct Mapped Cacheアーキテクチャを使った頻出データの高速検出アルゴリズムを考案した。この技術は実アプリ(マスメイルの高速検出)に適用し、従来手法に競べ、有効な結果を得た。 今後、上記技術をベースにワンツーワン・マーケッティング技術の研究を行う。
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