研究概要 |
(1)トラヒック品質の定量的分析 まずTCP通信の特性として、SACK、New Renoの別に通信品質の測定評価を行い、一般には性能が良いとされるSACKの性能が悪くなる場合があることを示した。つぎにTCP通信の性能評価をする上で通信中のRTT(ラウンドトリップタイム)をパッシブに測定することは重要であるが、これまで不可能であった。そこでパッシブ測定によるRTT測定法及び輻輳ウインドウサイズ推定方法も開発し、次項の評価に用いた。 (2)P2P(ピアツーピアー)トラヒックのトラヒック制御法の検討 まず管理サーバの存在しない、ピュア型P2Pファイル交換のWinnyに対しては、ピア間の特定のパケット交換に着目し、検索ネットワークを構築させないようにすることにより,トラヒックの制御を行った。つぎに、ハイブリッド型P2PネットワークのWinMXに対しては、ハイブリッド型の特徴である、必ずサーバにアクセスしてから、オーバレイネットワークを構成するという特性に着目し、それを分断しネットワークを構成させないことにより、トラヒックの制御を行った。それぞれの方式で、ファイル交換が行えない状況になることを、テストベッドにより確認した。 (3)オーバレイネットワークの構成に関する研究 ストリーミングデータの配信方法に関する研究の準備として標記を実施した。Winnyにおいては、ピア間で隣接ピア情報を交換し合ってオーバレイネットワークを維持しているという特徴に着目し、特定のピアの隣接ピアを特定し、構成ネットワークを測定した。また、オーバレイネットワーク構成ピア規模推定法を開発した。ピュア型P2Pネットワークではそれぞれのピアを管理することができず、その構成規模を把握することは不可能であった。測定とコンピュータシミュレーションを組み合わせることにより、その構成規模を推測した。
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