研究課題
オンチップマルチプロセッサは複数のプロセッサを単一チップ上に集積するため、プロセッサ間の通信時間を短縮することができる。本研究はこの特徴を利用してスレッド間通信が頻繁でスレッドの粒度が小さい非数値計算の高速化を目指している。今年度は、以下の課題について研究を行った。1.オンチップマルチプロセッサに値予測を適用し、通信オーバヘッド減少の効果を評価した。2.コンパイル時に値予測を行うことを考慮してスレッド分割を行った場合の性能について評価した。3.オンチップマルチプロセッサのハードウェア使用効率が悪いため、1台のプロセッサ上でマルチスレッディングを行い、スレッド間レジスタ共有を行って通信オーバヘッドを削減する機構の実装と評価を行った。1の結果:スレッド間通信を行うデータに対して値予測を行い、スレッド生成、送信命令を投機実行した場合、投機をしないモデルに対してSPECint2000で平均12.7%の性能向上が得られた。2の結果:値予測を考慮してコンパイラがスレッド分割を行った場合、性能向上は得られなかった。理由は現段階では明確でないが、値予測を考慮していないコンパイラに対して新たな機構を埋め込んだため、コンパイラが仕様通り動作していないのではないかと推測している。17年度は、新たに値予測を考慮したコンパイラを作成する計画である。3の結果:1台のプロセッサ上でマルチスレッディングを行う方式のシミュレータを作製した。さらに各スレッドで物理レジスタを共有し、明確な通信命令を発行しない機構を考案し、実装した。SPECint95で評価した結果、4スレッドの並列処理において物理レジスタ数128でほぼ最高性能IPC=3.5を得た。これは物理レジスタを共有しない従来の方式に比べてレジスタ数を約50%削減することに成功した。17年度はメモリ同期を正確に行い、高性能を達成する方式を研究する。
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電子情報通信学会信学技法(CPSY2004) Vol.104,No.592
ページ: 43-46
情報処理学会研究報告 2004-ARC-160
ページ: 41-46
SACSIS'05 (印刷中)