研究概要 |
本研究では,作業スケジュールやメディア再生時間長等のユーザの利用目的に応じて,バッテリーの持続時間および通信方式をシームレスにコントロールする省電力に配慮した通信ミドルウェアの設計・開発を目的としている。 本年度は,携帯端末での無線LANを経由するストリーミングビデオの再生において問題となるバッテリーの持続時間に関して,バッテリー残量およびユーザが希望する再生時間の制約を満たし,かつ,あらかじめビデオの各セグメントに対応付けられたカテゴリと,各カテゴリに対してユーザが指定した重要度に基づいて,動的にビデオの再生品質を制御する方式を考案した。 上記の方式に基づき,サーバからのビデオストリームを任意のパラメータ値を持つビデオストリームに実時間変換するトランスコーダと携帯端末で実行可能なプレイヤから構成されるシステムを実装した。 本システムにより,重要度の高い場面の時間的な割合が30%程度以内のとき,重要度の高いセグメントの再生品質を一定とした場合に比べ大幅に向上できること,動的な再生品質制御を行っても,希望再生時間と実際に再生可能であった時間の差が6%以内に制御可能であること等を確認した。 以上の成果は,本年度の情報処理学会論文誌に掲載された。
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