本研究においては、(1)Web環境における効率的な通信機構の開発および安定したWebサーバの開発、(2)利用者に優しく管理者の負担を軽減するネットワーク管理支援システムの開発、および(3)実用的なソフトウェアテスト法についての研究を行い、以下の成果が得られたが、論文にまでまとまったのはソフトウェアテストのみで、他はこれから論文にする予定である。 1.ミラーリングされているWebサーバへの効率的なアクセス機構の実現 ミラーリングされているWebサーバに対する同時アクセスをそれらのミラーサーバ群に振り分ける機構の試作および巨大なファイルを分割してミラーサーバ群にアクセスする機構の検討を行った。 2.MPEG動画像を対象としたインクリメンタルキャッシュ機構の評価 MPEGデータの階層性を利用し、これを部分的に転送しながらインクリメンタルキャッシュしていく通信方式を評価した。さらに、シーンの重要度に応じて通信量の配分を調整する方式を評価した。 3.過負荷に強いWebサーバの実現 アクセスを制限することによりWebサーバがダウンすることを防ぐことができるが、ユーザの不満が大きくなる。この対策として、ユーザに対してアクセスすることが可能となる時間を通知することが考えられるが、そのためにはサーバの負荷状態を把握する必要がある。本研究では、サーバの負荷状態の把握に使用できるシステムパラメタについて実験を通じた調査を行っている。 4.ネットワーク管理支援システムの開発 サーバやクライアントなどのネットワーク機器の管理に関する利用者や管理者の負担を軽減するための、Webインタフェースを用いたネットワーク管理支援システムの開発を行った。 5.ソフトウェアテストに関する研究 バグの修正の影響や正しさの確認する回帰テスト法に統計的な手法を適用し、その評価を行った。また、UMLを用いたシステムのモデル化、並行プログラムのテスト法などの研究も行った。
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