研究概要 |
今年度の主な研究成果としては,次の3点が挙げられる. 1.ブリッジ故障,クロストーク故障,遅延故障に対するテスト生成手法の開発. 2.テスト系列圧縮法およびテストデータ量削減法に関する文献調査 3.テスト時の消費電力削減法の開発 [ブリッジ故障,クロストーク故障,遅延故障に対するテスト生成手法の開発] 本研究では,縮退故障の他,ブリッジ故障,クロストーク故障,遅延故障も対象とする.ブリッジ故障,クロストーク故障,遅延故障に対するテスト生成は,縮退故障に対する場合より困難であるため,縮退故障に対して生成されたテスト系列を元に,テスト系列を生成する手法を用いる.1つはドントケア値と呼ばれる,0でも1でも縮退故障検出率の変化しない外部入力値を用いる手法であり,もう1つは,縮退故障を複数回検出するテストパターンを用いる手法である.ドントケア値を発見する手法を開発し,実験を行った結果,最大で約7割の外部入力値がドントケア値となることが分かった.また,縮退故障を複数回検出するテストパターンを用いた結果,従来法より多くの遅延故障を検出できることが確認できた. [テスト系列圧縮法およびテストデータ量削減法に関する文献調査] 組込み自己テスト環境においては,回路に印加するテスト系列をVLSIチップ上のメモリに保存しなければならないため,テスト系列の短縮などを行い,そのデータ量を削減する必要がある.そこで,テスト系列を短縮する手法およびテストデータ量を削減する手法について,これまでに発表された論文を調査した. [テスト時の消費電力削減法の開発] 近年の高集積かつ高速のVLSIでは,テスト時の消費電力の増大が大きな問題である.そこで,与えられたテスト系列の故障検出率を保持したまま,テスト時の消費電力を削減する手法を開発した.シミュレーション実験を行った結果,元の約6割まで消費電力を削減できることが確認できた.
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