研究概要 |
本年度は、診断用テストパターン生成法の開発,クロストーク故障に対する故障診断法の開発,ブリッジ故障に対する故障診断法の開発を行った. 1.診断用テストパターン生成法の開発 縮退故障に対する故障診断用テストパターンを生成する手法として,テストパターン中に存在するドントケア値を利用する手法を考案し,そのために,与えられたテスト系列中においてできるだけ多くのドントケア値を求める手法を開発した.本手法では,故障検出するテストベクトルに着目し,テスト系列を分割することで,短い計算時間で多くのドントケア値を得ることを可能にした.また,開発した手法の有効性を調べるためのシミュレーション実験を行った結果,約半数の回路に対して70%以上のドントケア値を得ることができた. 2.クロストーク故障に対する故障診断法の開発 クロストーク故障の診断を高速に行うため,クロストーク故障シミュレーションの高速化手法を開発した.開発した手法では,回路の構造解析や,故障励起・伝搬の条件を解析することによって,不必要な計算を省略し,計算時間の短縮を可能にした.開発した手法の有効性を調べるためのシミュレーション実験を行った結果,約2倍〜80倍の高速化を実現した. 3.ブリッジ故障およびオープン故障に対する故障診断法の開発 組込み自己テスト環境において,ブリッジ故障およびオープン故障の診断を行う手法を開発した.ブリッジ故障の動作は複雑であるため,ここでは,ANDブリッジ,ORブリッジ,ドライブ,ゲート内部ブリッジを対象とした.またオープン故障に対しては,多重縮退故障でモデル化した.これらの故障に対して,縮退故障シミュレーションを応用することによって,高速に少ない候補故障を推定することを可能にした.
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