研究概要 |
本研究では,環境の変化が比較的短い時間で発生する分散オブジェクト指向計算環境において,システムが環境の変化を越えて生存するための自律的な環境適応性に関して研究を行っている.環境の変化に適応するための戦略はシステムを構成するオブジェクト毎に異なるため,環境の変化に対して適応する能力を個別のオブジェクトに与えた. 個々のオブジェクトに適応性を与えるために,一つのオグジェクトを複数のメタオブジェクトから構成し,それらメタオブジェクトの入れ換えやパラメータ調整で適応性を持たせることし,この自己の再構成を行うオブジェクトを適応可能オブジェクトと名付けた.この適応可能オブジェクトのモデルは,Hubオブジェクトと名付けたメタオブジェクトを中心として,複数のメタオブジェクトを緩く接続するという構成をとる.即ち,Hubはいわゆるメールボックスであり,メタオブジェクト間はHubを介した生成通信により通信を行う.接続されているメタオブジェクトは相互を関知しないため,適応可能オブジェクトは構成が固定されず,柔軟性が高い構成となっている.更に,メタオブジェクトは他のメタオブジェクトを関知する必要がないので,再構成も自己完結でき容易である. 本モデルに対して,実現可能性を確認するため,Java言語による実装を試みている.また,適応戦略等を記述するために,XMLを基にした設定記述言語を設計している.アプリケーションプログラマは,Java言語を用いてプログラムを行うが,適応可能オブジェクトの詳細を隠蔽するために,ソースコード変換を用いたトランスレータを作成する.従って,アプリケーションプログラマは,通常のJavaのクラスを記述することになり,トランスレータが適応可能オブジェクトのクラスに変換を行う.
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