研究課題
平成17年度には、環境適応型エージェントの効果を示すために、モバイルアドホックネットワークにおけるマルチキャストルーティング、サービス発見プロトコル、情報検索等について研究を進めた。マルチキャストルーティングとは、一般に複数のマルチキャストメンバーに一つのノードから同じデータパケットを送信するためのルーティングである。本研究では、我々が提案した自律分散クラスタリングに基づいてモバイルアドホックネットワークに階層構造を導入し、クラスタ内はツリー、クラスタ間はTORAを適用させたマルチキャストルーティングHiM-TORAを新たに提案した。クラスタにおけるマルチキャストメンバーの存在形態に基づいて各クラスタに対して4つの状態の一つを割り当て、形態の変化に適応してその状態を変化させることが、提案手法の特徴である。シミュレーション実験により、既存の代表的なマルチキャストルーティングMAODVと比較して、自律分散クラスタリングの効果により、ネットワーク規模が多くなってもノードの移動速度が速くなってもデータパケットの到達率は高いことを示した。また、マルチキャストメンバーの移動および増減に対しては、4つの状態変化の効果により、高いデータパケット到達率が維持されることを示した。サービス発見プロトコルとは、ユーザであるノードからサービスを要求し、ネットワークのどこかに存在するノードが提供しているサービスを探し出すためのプロトコルである。フラッディングに基づいた従来法では、フラッディングのための制御パケットの輻輳により効率良くサービスを探し出すことができなかった。本研究では、各種サービスを提供する複数のノードをサービス提供グループとして動的に維持し、このグループのサービスに対する要求が発生した場合、このグループの一つのノードが代表して返答するプロトコルを新たに提案した。シミュレーション実験の結果、要求するサービス数が増加しても制御パケットが急激に増加することなく効率よくサービスを探し出すことができることを示した。
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