社会インフラを支援する開放型ユビキタスネットワークとして、実空間から広く情報を収集するセンサネットワークの管理機構と高効率・安全プロトコルを開発した。まず、管理機構としてSNAC (Sensor Networks Active Control)というフレームワークを確立した。SNACでは、センサノードのライフタイム管理を行うために、協調的故障検出、位置に応じて物理領域と一対一対応したマルチキャスト機構であるAreacastを開発した。Areacastでは、階層的に領域を管理しなければならないため、階層に応じた可変長アドレスを採用した。実際にSNACを実装し、ACM SenSysでデモ実演を行った。次に、高効率・安全プロトコルとしてHuaNaaというフレームワークを確立した。HuaNaaでは、センサネットワーク向けのセキュアなグループ通信プロトコールを提供する。我々の定義において、グループ通信とは少数の基地局(小型PC等)と多数のセンサノード間の通信を意味する。センサネットワークはモニタリングのために使用され、センサが監視したデータを基地局に送り、基地局がそのデータを処理し、センサに命令を送り込む。通信経路は基地局から一個のHELLOパケットを送出してセンサノードが自律的に木構造を作ることができる。消費電力を節約するために基地局と通信できる距離でノードを三つの種類に分け、全ての通信はブロードキャストとする。データの盗み聞きを防止するために暗号鍵を用いる。HuaNaaにおいては、公開鍵方式と共通鍵方式を使用するが、公開鍵の計算コストは高いため、ノードに行う計算には共通鍵方式を採用する。新しいノードが配置されても、通信の木構造が自律的に適応できることを、シミュレーションにより実証した。
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