前年度 平成16年度は、開放型センサネットワークにおいて、セキュアグループ通信を行う際の暗号化方式を具体的に設計し、シミュレーションにより検証した。また、実機を用いた実証に向けて、汎用的なセンサネットワークプラットフォームであるMICA MOTEにルーティング機構を実装した。 まず、セキュアグループ通信の方式として、HARを開発した。HARで想定するセンサネットワークは、ベースステーションとその他の複数の情報収集センサノードから成るものとする。HARでは、ベースステーションの公開鍵、秘密鍵、各センサノードの秘密鍵、グループ鍵を用いる。親ノードとして、ベースステーションは、一定間隔で、グループ鍵で暗号化された「子ノード探索要求」を発信し、正規のセンサノードは「子ノード探索応答」で応答する。既にグループに加わったセンサノードは、新たな親となり、センサデータ配送グループを形成していく。ns-2を用いたシミュレーションにより、予めグループに登録したノードだけがデータ配送グループに参加できることが確認された。 次にルーティング機構として、実世界通信を指向して、地理上の位置と一対一対応のある階層化ルーティング手法SAMONを開発した。具体的には、階層化可変長のアドレスを割当てることとし、アドレス情報を辿るだけで暗示的なソースルーティングを実現した。さらに、階層化をするだけではノード故障に弱い点を解消するために、ノード故障に対応したバックアップ経路を構築する機構を導入した。このプロトコルを10台のMICA MOTEに実装し、耐故障性のあるルーティング機構を確認することができた。今後は、実際のセンシングを目指して、HARおよびSAMONを他プラットフォームへの適用を進めていく。
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