研究課題
本研究テーマは、今年度も、コンピュータとネットワークの二つの側面に分けて検討を行った。ネットワークの側面に関する検討では、LAN区間の構成要素として検討している優先制御機能付きEthernetの評価を完了し、優先度割り当ての分布と遅延特性の関係を明らかにした。この特性に基づき、WAN区間側でのEDFスケジューリングとの遅延時間配分によって決定される、LAN区間1ホップでの遅延条件と、パケット優先度割り当ての確率分布から、LAN区間で割り当てる優先度を決定するアルゴリズムを提案し、評価を行なった。ただし、LAN区間での遅延特性は、LAN区間全体の優先度分布と関連し、さらにLAN区間のみで遅延特性を満足できない場合には、影響がWAN区間にまで波及するため、繰り返しの必要なアルゴリズムとなっており、その効率化が課題となっている。WAN区間でのクラスベースキューイングによるEDFの代替は、LAN区間と同様、優先度分布の問題に帰着する。この場合、注目する経路におけるクロストラヒックの影響を排除するために、MPLSによる経路制御を行なうことが前提である。ただし、通信を行なう相手が固定でない、つまり、確率的にRPCを行なう相手が変わる場合については、EDFの場合も含めて、効率良いネットワーク利用のための遅延予測方法を検討する必要がある。コンピュータ側の検討において、タスクの実行途中に通信やサーバアクセスによる中断がある場合の時間的振る舞いについて理論検討を行なってきたが、良い結果は得られていない。そこで、クライアント側でのサーバ呼び出しに制約条件を与えた上で、さまざまなクライアント負荷パターンを使ったシュミレーションを実施し、時間的振る舞いに予測可能性を与えるためにはどのような条件を与えるべきかについて、現在検討を行なっている。
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電子情報通信学会論文誌A Vol.J87-A, No.12
ページ: 1518-1572