研究課題
ネットワークの側面に関する検討では、WAN区間において、遅延時間制御を行いながら、より効率的にネットワークを活用するアルゴリズムORC-GPSを提案した。この提案に関して、2件の論文発表を行い、またさらにそれぞれ1件の国際会議論文と雑誌論文を準備中である。ORC-GPSは複数ホップ経路において、EDFやGPSよりもより広いスケジュール可能領域をもつという優れた特徴をもつ。ORC-GPSは基本的にクラスベースのスケジューリングアルゴリズムであり、クラス毎に必要とされる遅延時間を基にクラスおよびそのパラメータを決めることができる。昨年度の検討結果から、LAN区間での優先度割当による遅延制御には限界があり、ある特定の値からあまり大きく変動しないことから、LAN区間でも優先クラスによる遅延制御は行うが、主としてWAN区間で遅延の制御を行うことになり、そこでORC-GPSを活用する。全体の遅延からLAN部分で想定されるおよその固定量の遅延を差し引き、残部分を基にORC-GPSのパラメータを設定することにより、所定の遅延を実現することができる。コンピュータの側面に関する検討では、クライアント側でのサーバ呼び出しの実行間隔や各サーバでの処理時間および遅延時間に関する検討を行った。しかし、タスクの実行途中でサーバ呼び出しが多段に入る揚合に、EDFスケジューリングによる各段での遅延時間制限の割当、各クライアントの実行におけるサーバ呼び出しの段数、および多数あるクライアントの中での遅延時間制限の分布状況の関係について、パラメータが多いため、未だ特定の方法を推奨するところまでは至っていない。科学研究費補助金による研究期間は本年度で終了するが、今年度構築した実証実験システムを活用し、タスク実行制御に関わるさらなる検討、およびネットワーク側検討結果との統合による実験を継続していく予定である。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (2件)
情報科学技術レターズ vol.4
ページ: 337-340
電子情報通信学会技術研究報告 vol.105, no.407
ページ: 59-62