研究概要 |
本研究は,汎用のEthernet方式で分散通信が可能でかつ多数の計算ノード結合できるHCC ABL-treeと呼ぶ階層構造の相互結合網をもつPCクラスタ構築技術の確立を目的としている.HCC ABL-treeを構成するには,まずその構成要素となるリング結合や完全結合を施した複数個のサブアレイに最小距離3のグラフの点彩色によってスイッチ付き木構造網を割り付けて1階層ABL-treeを構成し,これら複数個のABL-tree間をスイッチ経由の階層化完全結合で接続する.平成15年度は,階層化完全結合の仕方において,従来のノードラベルとサブァレイラベルを対応づける方法ではハミルトンサイクルに振れを生じる問題をサーキュラントグラフベースの構成法を開発して解決し,2階層HCC ABL-tree構造のPCクラスタプロトタイプ(計算ノード数24,Gigabit Ethernet使用)を構築した.平成16年度は,このクラスタで基本ルーティングアルゴリズムによりリング結合や任意のアスペクト比のメッシュ結合網を再構成する機能を実現するとともに,同時並列ノード間通信時の負荷分散が可能な分散ルーティングアルゴリズムを開発した.平成17年度は,計算ノード数を32に増設し,同アルゴリズムを多重経路分散型に改良して,通信負荷のさらなる分散とビジーや故障の計算ノードを迂回するフォールトトレランス機能を実現した.以上の研究結果に基づき,提案構造のPCクラスタにおいて大規模メッシュ結合網などを理想状態で模擬するための構成条件を取りまとめて予定の研究を完了した.
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