研究概要 |
平成16年度は,本研究に関して12件の研究発表を行なった. 日本色彩学界誌に,きもの資料の色彩分析に関する査読論文を投稿し,採択,掲載された. カラーフォーラムJAPAN2004においては,絵画を中心とした画像の数理的な色彩分析について,きもの資料の色彩分析を含めて,これまでの研究成果について報告した. デジタルカメラを用いたきもの資料の色彩情報の記録とその応用について,以下の研究発表を行なった. 平成15年度までの成果をふまえて,きもの資料を含むさまざまな種類の資料(とくに博物館・美術館が収蔵する資料を念頭において)について,デジタルカメラで撮影を行なう際のガイドライン,とくに照明の状況による撮影対象の分類方法を提案し,カラーフォーラム2004および情報処理学会人文科学とコンピュータシンポジウム2004において発表した. 関連して,国立歴史民俗博物館の所蔵する錦絵資料のデジタルカメラによる撮影とデジタルアーカイブの構築について,日本色彩学会全国大会および情報処理学会人文科学とコンピュータシンポジウム2004において発表した. きもの資料の色彩分析に応用できる,色彩画像の計量分析手法について,以下の研究発表を行なった. 画像に含まれる色の基本色(万人に共通とされる色の分類カテゴリ)を求める手法として,ファジィ集合論を応用した色空間の3次元ファジィ分割方法を開発し,日本色彩学会画像色彩研究会にて報告した. 画像上の色の変化を,Haar基底およびその拡張にもとづくウェーブレット解析によりとらえる波長分析の手法を開発し,日本色彩学会全国大会,カラーフォーラムJAPAN2004,および日本色彩学会画像色彩研究会にて報告した. 海外においては、ブルガリアのヴァルナで開催された国際研究集会Color & Culture Heritage 2004では,日本の色彩文化について,近世の小袖と,中世のかさね色目について,文化的側面から解説し,色彩分析の結果を合わせて報告した.また,デジタルカメラを用いたきもの資料の色彩情報の記録について,同国際会議において発表を行なった. この他、綾織物の発色に関するマクロモデルの開発を行い,平成17年度に報告する準備をしている.
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