研究課題
平成17年度は、本科学研究費補助金に関わる研究の成果として、9件の研究発表を実施した。5月にスペインのグラナダで開催された国際色彩学会(AIC)の世界大会(4年に1度開催)において、2件の研究発表を行った。うち、「Mosaic Image of Dominant Color...」では、画像の主要な色情報を失うことなく画素数を減らすモザイク化処理が、画像の色彩分析には必須であることを述べ、その具体的な構成法について示した。「Essential Concepts for Digital Recording...」では、デジタルカメラを用いて博物館・美術館資料の色彩情報を正確に記録するためには、撮影の条件についていくつかのカテゴリーにわけてとらえることが有効であることを示した。同じく5月に開催された日本色彩学会全国大会(東京・電気通信大学)において、3件の研究発表を行った。「NCS色空間の…」では、NCS色空間を用いて配色の分析を行う際に問題となる、どの色がどの色相・色調に属するかを決定する方法として、ファジィ理論に基づき確率として表す方法について提案した。「綾織物の反射率を…」では、複雑な表面形状をもつ綾織の布について、経糸緯糸の色が異なる布の分光反射率を推定する、光の反射に関するマクロモデルを立て、検証を行った。「心理実験による…」では、配色を分析するときの基礎となる、配色とそれが与えるイメージとの関係、とりわけ今回は四季を表す2色配色について、心理実験を行い、基礎データを得ることができた。11月に開催されたカラーフォーラムJAPAN2005(東京・工学院大学)において、2件の研究発表を行った。「Michel Albert-Vanel氏の…」では、フランスの色彩学者ミシェル・アルベールヴァネル氏の提案する配色理論について、そのアプリケーションである配色教材Color Arcanaの分析を通じて、数学的な解釈を与える試みを行った。「綾織物の…(その2)」では、5月の発表の続報として、綾織物の光の反射のマクロモデルの改良を行った。翌年3月に開催された日本色彩学会画像色彩研究会では、2件の研究発表を行った。「コントラストを表す…」では、画像に含まれる色のコントラストの強さや画像の主要をなす(ドミナントな)色の特徴を数量的に分析し、コントラストとドミナントをそれぞれ3次元空間の点として表わし、コントラストとドミナントの組で配色を計量する方法を提案した。「異なる出版物の…」は、きものなどの博物館資料や、絵画などの美術館作品について、同じ絵画作品でも収録される図録や写真によってその色が大きく変わってしまう事実について、その傾向を定量的に調べることにより、人間が好ましいと思う色再現の特徴を見出すことを試みた。これらの技術は、相互に深く関連しており、並行してすすめることにより相乗的な進展が期待される。なお、研究代表者は、4月10日放送のNHK教育テレビの番組「新日曜美術館」に出演し、ゴッホの絵画の色彩について分析および解説を行ったが、分析に用いた諸技術は本課題研究と深く関連するものである。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (9件)
日本色彩学会画像色彩研究会2005年度研究発表会論文集
ページ: 13-18
ページ: 1-6
The 10th Congress of the International Colour Association (AIC Colour 05,Granada),Proceedings book
ページ: 627-630
ページ: 1295-1298
日本色彩学会誌 vol.29, supplement
ページ: 14-15
ページ: 28-29
ページ: 78-79
カラーフォーラムJAPAN2005論文集
ページ: 59-62