研究概要 |
本年度は,以下の2点について研究成果を得た。 1.手描き風曲線生成支援システムの提案と手描き曲線の特徴抽出 絵本などで使われている手描き曲線には,なめらかな曲線にはない心地よさがある.しかし,素人が心地よい手描き曲線を描くことは困難である.また,既存のグラフィックツールには,プロが描いた手描き曲線の特徴を抽出して利用する機能はない.本研究では,手描き風曲線の生成支援システムを提案し,そのシステムを作成するために必要となるプロの手描き曲線の特徴を抽出した.手描き曲線の特徴は明細的特徴と概形的特徴に分けられる.プロの作品と素人の作品で特徴抽出を行った結果,明細的特徴はフーリエ変換したときに一定の高周波部分にあらわれることがわかった.また,概形的特徴はフラクタル次元で抽出できることがわかった.さらに,提案システムのプロトタイプにより,素人の描いた曲線からプロの描いた手描き風曲線に近い手描き風曲線を生成することができた. 2.2次元的に表現されたキャラクターを3次元化する際のガイドライン 最近では,アニメ作品のキャラクターは,3次元CGモデルをトゥーンレンダリングすることにより生成されることが多い.しかし,生成されたキャラクターの質は制作者め力量によって大きく異なる.そこで,2次元的に表現されたキャラクターを3次元化する際のガイドラインを得るため,以下の2点について研究した. 1)顔の造形における誇張や省略がユーザーの印象にどう影響するかを明らかにした.形状におけるリアリティの追及が,必ずしも魅力の向上に繋がるわけではないことが分かった. 2)浮世絵は2次的に表現されたキャラクターの古典であるが,その魅力を明らかにする研究を行った.浮世絵特有の曲率変化のパターンを抽出でき,初期〜後期の3段階での類似点や相違点を明らかにした.
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