研究概要 |
ユーザと認知行動空間を共有・分担してユーザもしくは独自の注視点からユーザの認知・体験を視空間エピソードとして記録し,それらをもとにユーザの日常行動,意思決定,及びコミュニケーションを支援するウェアラブルナビゲーションシステムの実現をめざして,その基礎技術となる注意制御の機構,視空間エピソードの記憶(記録)と想起(検索)の機構,想起に基づくナビゲーションの機構,の研究を行っている.本年度は3年計画の研究の第2年度であり,第一に,シーンに含まれる注目オブジェクトとそれらの空間関係を符号化して視空間エピソードの記憶と想起を遂行するニューラルネットワークに基づくシーン記憶システムに関して,その実世界環境での性能を小型ロボットに本システムを実装することにより評価した.そして,単純な実世界環境においては,本システムにより注目オブジェクトのワンショット自己組織化学習に基づく符号化が達成されること,注目オブジェクト符号とそれらの空間関係符号によりシーンが符号化可能なことを検証した.また,ひとたび学習したオブジェクトに関しては,その特徴的な部分情報のみに基づく一瞥認識が可能なこと,及び部分情報からオブジェクト及びそれを含むシーンを想起可能なことを検証した。第二に,本システムをオブジェクトがより混み合いかつ動的な実世界環境に適用するために,オブジェクトの特徴抽出,セグメンテーション,グルーピング,及び空間関係記述に関して拡張したシーン記憶システムの構築を行った.第三に,ユーザ装着のヘッドマウントディスプレイと携帯端末,及び着脱自律型の携帯型ロボットとしてのAIBOからなるウェアラブルナビゲータへの本システムの部分的な実装を行った.
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