研究概要 |
本研究では,人間の関心や要求に気づいて,それらを満たす情報やサービスを提供するシステム/環境ATTENTIAの実現にむけて,オーナーである人間と日常認知行動空間を共にする身近なコンピュータやロボット等のパートナーマシンが,オーナーと共有する日常空間に注意を払い,また,注意や関心を共有することにより,オーナーの日常行動を支援するための基礎技術として,協同注意の表現と制御の方法,競合ニューラルネットワークに基づく注意構造の学習方法,及び視覚的注意と応答発話に基づくベイジアンネット型パーソナルモデリングとそれに基づく実情報空間ナビゲーションの方法の構築を行った.協同注意の表現と制御に関しては,まず,顕著性に基づく注意をオーナーの意志や関心に基づく能動的空間注意により調節する方法を構築した.そして,それら注意の遷移と制御の方法を構築し,オーナーの注意とパートナーマシンの注意との間での協同注意制御の方法を示した。競合ニューラルネットワークに基づく注意構造学習に関しては,まず,あるシーンに含まれる注意スポットの集合を,注意スポットに含まれるオブジェクトを符号化する競合ニューラルネットワークCOGNETとオブジェクトの位置と大きさを符号化する符号化機構とにより,注意構造符号として符号化するモデルを構築した,そして,COGNETの主な特徴であるシーンからの注意構造符号の速い自己組織化学習と注意構造符号によるシーンの一瞥認識に関して実験により性能評価を行い,注意構造符号が視空間エピソードの符号化を可能とすることを確かめた,視覚的注意と応答発話に基づくベイジアンネット型パーソナルモデリングとそれに基づく実情報空間ナビゲーションに関しては,まず,注意オブジェクト符号と感性語を用いた相槌,及びコンテクストからオーナーの関心を推定し,オーナーに対して情報提供を行うためのベイジアンネット型パーソナルモデルとそれを推論モデルとして持つパートナーマシンのアーキテクチャを構築した.そして,音声対話に基づく個人適応的ニュース情報提供システムを用いた実験により,ベイジアンネット型パーソナルモデルにより個人適応的な情報提供が可能なことを確かめた.
|