本研究では、目標とする屋外景観の三次元画像構造表現として、シーンの三次元構造を平面や滑らかな二次曲面の集合で近似したものに、複数枚のカラー画像を縫い合わせて作成したカラーテクスチャ画像を各構成平面・曲面毎に貼り合わせ、これらを舞台の書割(セッティング)のように配置したコンパクト3D表現、すなわち「セッティング表現」を設定する。カラーテクスチャ画像は現有の高解像度ディジタルカメラを用いて計測する。一方、奥行きデータは、距離データと粗いカラーデータとを同時に且つ同一標本点で計測可能な現有のレーザーレーダ式3Dレンジ・スキャナーを用いて計測する。 屋外景観を対象とした場合、観測ポイントに関する制約、隠蔽関係、日照条件、影などの要因によって生じる不完全性を含んだものとなる。データに含まれる不完全性を検出し、その不完全性による欠損部分を補填しつつ、「セッティング表現」を構成する技法を確立した。 (1)奥行きデータの不完全性の検出法 研究代表者らは、現有の3Dレンジ・スキャナーで測定した奥行きデータとカラーテクスチャデータとを組み合わせ、セッティング表現の構成単位である区分的構成面(平面あるいは二次曲面)を切り出すためのセグメンテーション手法を開発している。この手法を拡張することにより、隠蔽された面と隠蔽する面とを分離し、隠蔽によるデータ欠損領域を自動的に同定する手法を構成した。 (2)カラーテクスチャデータの不完全の検出法 上記(1)で検出した欠損領域を、位置合わせをした上で、カラーテクスチャデータにマッピングし、隠蔽による不完全領域を指定した。また、カラーデータを、均等色空間に変換した後、そのカラーベクトルデータの微分幾何学的構造をそのスケールを変えながら分析することで、「影」の部分を検出した。 (3)奥行きデータ・カラーテクスチャデータの欠損の補填法 欠損の周囲領域においてベクトルデータとして与えられる観測データの持つ微分幾何学的構造を詳細かつ大域的に解析し、その結果に基づき欠損を補填する新たな手法を構成した。
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