本年度では、次の二つのステップに分けて研究を行った。 1)ワークフロートランザクションの一貫性を保証するための隔離性について検討する。データベースの並行処理制御は、トランザクションの一貫性と隔離性によって実行結果のデータベースの一貫性を保証している。しかし、ワークフロートランザクションの一貫性は、入力データはタスク単位、出力データはトランザクション単位で満足される。タスクは入出力条件で表されるアプリケーションの一貫性情報も利用できる。したがって、隔離性の定義もそれに応じて再検討する必要がある。本研究では、入力データの隔離性と出力データの隔離性を導入し、それらによって並行実行における入出力データの一貫性を保証できることを示した。 2)同じまたは異なるワークフローに属する複数個のインスタンスが、並行に実行されるときに生じるワークフローの定義方法にかかわる問題について検討する。ワークフローの実行の各時点において、祖先タスクの出力データが満たす条件によって禁止される他のインスタンスの実行というインスタンス間の実行順序には閉路が生じうることを示す。その中には、直列実行しか許されない場合や並行に実行可能な場合が存在する。本研究では、ワークフローの定義による回避方法を与えた。
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