研究概要 |
カーネル相対主成分分析によるパターン認識のさらなる高精度化のために,カーネル理論の拡張を行った。今までのカーネル法では,カーネル関数が対称で非不正定値である必要があった。そのために,容易にカーネル関数を場所に応じて変更することができなかった。これが可能になればその性能が向上することが,ラジアル基底関数によるパターン認識の研究から予想されていた。本年度は,今までのカーネル理論が高次元空間への同じ2つの写像の結果の内積であったものを,2つの異なる写像の元の内積と拡張することによって,カーネル関数を変更することを可能にした。そして,この理論をカーネル法の中では理論的に簡単なサポートベクタマシンに適用して,初歩的な実験ならがその性能向上を確認している。また,パターンのモデルとして,正規分布が用いられることが多いが,実際の分布は正規分布とは限らない。このような,非正規性を捕らえたパターン認識や次元圧縮を行うために,ベクトル空間上のMahalanobis計量方程式を考案し,計算機実験を行っている。さらに,脳信号のような時系列信号に適用するために,オンラインの主成分分析に関する方法に関しても研究を行い,一定の結果を得ている。昨年度,本科研費で研究を行ったカーネル相対主成分分析の結果とカーネルサンプルスペース法に関して,SPRとICPRで発表を行っている。また,本科学研究補助金で購入した物品は,画素単位動き補償予測とサブバンドを用いた画像符号化,オペレーションコード・オペランド分離型命令キャッシュメモリーによるプロセッサ,情報を提供することに関してHTMLの発展形とも言うべきtobeML(Text Oriented Bi-stream Explanation Markup Language)の研究にも有効に利用されている。
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