研究概要 |
本研究は,カラー画像から得られたカラーヒストグラム空間上で,カラー画像のカラー値をその出現回数で置き換えら画像(頻度画像と称する)を作成し,その画像の持つ特徴を利用して,様々な画像処理手法を開発することを目的にしている。 この頻度画像は,画像中に含まれる様々な色情報を抽出できるところに大きな特徴があり,今年度は,ステレオ画像の対応点探索法,カラーヒストグラムを用いた隠れた情報の抽出及びカラー画像の局所的な露出補正法の研究を行った。それらの研究成果は次のとおりである。 (1)ステレオ画像の対応点探索法の研究 これまでの方法では不可能であった,テクスチャ性が無い物体表面に対するステレオ画像の対応点探索問題に対して,物体表面に存在するわずかな色むらや汚れを抽出できる小数頻度画像を用い,頻度範囲の異なる頻度画像を生成して高精度に対応点探索を行う方法を開発した。 (2)カラーヒストグラムを用いた隠れた情報の抽出法の研究 古文書等に見られる,貼り付けられた紙の下の隠された情報を検出するために,頻度範囲に異なる多重の頻度画像に対してバンドパスフィルタの概念を適用し,隠された情報を鮮明に抽出する方法を開発した。 (3)カラー画像の局所的な露出補正法の研究 逆光等の悪条件の環境下で,ディジタルカメラで撮影された画像に見られる「とび」や「つぶれ」といった露出の不適正な領域を視覚的に自然な画像に自動的に補整するために,1枚のrawデータから現像された2枚の露出の異なるカラー画像のヒストグラムの色の頻度情報を用いて,領域分割を行うことなしに画素単位に露出の補正を行う方法を開発した。その際,新たに人間の知覚に基づいて設計したカラーヒストグラムの構成法を提案している。
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